「・・・つまり・・お兄さんに怒られて、ステラが拗ねちゃったって事か?」
カガリの言葉に、シンは頷き・・ステラはぼーっとテレビを見ていた。
「ステラは・・お兄さんと仲直りしたい?」
「・・。」
兄の話になるとステラは機嫌が悪くなるらしく・・眉間にしわを寄せた。
カガリが困ったように「お兄さん、嫌い?」と訪ねる。
「・・おにぃ・・好き。でも、おにぃ、この頃怒る。・・ステラ、シン、仲良くするなって・・。」
「あれは・・シスコンだからで・・。」
「・・・?シスコン・・シン友達?」
「お兄さんは、ステラのこと、大好きって事だよ。」
弟とは思えない甘いマスクに、カガリは恋する男は違うなぁと感嘆する。
「お店・・お皿、ステラ割った・・。おにぃ・・凄く、怒って・・っ・・。」
うぅ~と泣き出したステラを恋人のようにシンは抱きしめている。
・・・幸せそうなシンの顔にくぎを差すように、カガリは「間違っても手はだすなよ?」と口パクで伝える。
「・・おにぃ、ステラ、嫌いになっちゃった・・ステラ・・・・哀しい・・。」
嗚咽を漏らすステラに、カガリは優しく頭を撫でて諭してやる。
「お兄さん、ステラのこと大好きだぞ・・ちゃんと会って、謝ったら・・お兄さん笑ってくれる。」
「ステラ、嫌いって・・いわない?」
「言わないぞ・・だって・・ステラの大好きなお兄さんだろ?」
そういうと・・ステラは「うんっ・・。」と涙を拭き、携帯で電話を掛ける。
すると・・直ぐに受話器から声がした。
『ステラッ!!お前・・どこに・・っ・・。』
「・・・・。おにぃ・・怒って・・る?」
『・・いや・・・怒ってないよ、ステラ。・・・怒らないからどこにいるか教えて?』
「ステラ、今シンの家・・。」
『・・・・そっかぁ・・じゃあ、シンに変わってくれるかな?』
「うん!」
そうやってシンに回ってきた携帯を見て、シンはごくりと唾を飲んだ。
『俺の妹に何やってるんだ君は!!!!!!!!!!!』
カガリの耳にも届くほど大声で言われ、ステラは心配そうにシンを見つめていた。
「いや、お兄さん。後生です何もやってません!!」
『お兄さん!?いつそんな呼び方をして良いと言った?!』
そう尋問され・・シンは再び嫌な汗をかいていた。
「・・・ステラ、お兄さんここ来るって。」
「・・シンまたおにぃと喧嘩・・。」
「大丈夫だよ、ステラ。」
もうやってろよ、と心の何処かで吐き捨てつつ、カガリは二人を見て微笑んでいた。
数十分後、インターホンが聞こえ、カガリが出る。
「・・・?あれ、ここ・・シン・ヒビキは・・・。」
キョトンとしたその人に、カガリは笑い中へと通した。
「何だよ~シン、お姉さんが居たならあんなに俺も怒らなかったのに・・。」
「だって言わせてくれなかったじゃないですか!」
「えー、そうだった??」
三十代前半くらいのその人はカガリを見て微笑む。
「ステラから話は聞いてる。・・大変だな。」
「え・・あ、あぁ・・。」
ポンッと頭を撫でられて・・何だかザラ先生に似てるな・・と心の何処かで思う。
そして、帰ることになり・・二人は玄関まで送る。
「シン・・お姉ちゃん・・ありがとう、ステラここ好き。」
「良かったらいつでも来いよ。」
「ステラ、明日も迎えに行くから!」
「・・・おい坊主!キスまでは一万歩ゆずってOKだが、それ以上は駄目だからな!!」
そう言って・・邪魔したな!とムウさんは言って帰ってしまう。
カガリとシンは笑って手を振って別れた。
いつものように店に行くと・・オーナが朝から居て、奥のソファーで資料と詳しい説明をされる。
「今日・・午前中休んで、君の化粧と服を合わせたいのだが・・。」
「え、でも・・。」
店が・・と言葉を濁すと、デュランダルは「気にすることはない、それに・・君は少々働き過ぎだからね」とカガリを連れ出す。
「化粧している間だ、暇だろうから・・資料にでも目を通してくれ。」
そう言われ・・五分ほど更に繁華街に入った所・・、その店は汚らしい感じではなく品があった。
「さぁここだ。入りたまえ。」
そう通され・・何処かの城じゃないかと思わされるほど綺麗な受付にカガリは驚く。
すると手を引かれ、控え室へと通される。
「いらっしゃい、あら・・若いわね。」
クスリ・・と笑う人は胸元にエリカと言うプレートを付けていた。
「彼女はメイクとヘア両方出来る凄腕だ。給料が高い者しか・・彼女の手は借りられないのだが・・」
「オーナーのお気に入りの貴方だから、やってくれってね。まぁ元が良いし私も楽しませて貰えるわ。」
椅子に座らされ・・カガリは資料を読んで、詳しいことを確認する。
客が飲んだボトルの4分の1が給料として変換されるらしい。
それに、この店もメイドカフェと同じで偽名で良いそうだ。
「今から顔やるから・・資料は後でね。」
そう言われカガリは目を瞑ったり口を開けたりと忙しくなる。
「出来たわ、上出来ね。若くてファンデーションののりが良いからかしら?」
鏡が目の前にないのでカガリは顔を確認することは出来ない。
だが・・・直ぐに衣装へと映り、幾つかのドレスを手渡され更衣室で順々と着替える。
「うーん、どれもいいね。」
「そうですね、髪型を変えれば何だってにあうわ。」
今の髪型にはコレね・・・と、ラメが沢山は言ったグリーンのワンピース・・ただしマーメドラインで肩も背も胸元も結構開いている。
「あなたはどう思う?」
やっと鏡の前に立てたと思えば・・・信じられない姿の自分にカガリは目を白黒させた。
「これなら二十でもいけるわ。」
確かに・・。
カガリは思わずまじまじと自分を見る。
メイクが巧い御陰か、派手にもなりすぎず・・また控えめでもない。
「来週からでも・・入って貰いたいね。」
「え・・はい!」
「六時から・・の方がいいかね?カフェの方を五時に切り上げて・・夕食を取ってココに来て着替えて六時から・・の方がお金的にも効率がいいだろう?」
「ありがとうございます!」
やった!と無邪気にはしゃぐカガリに、デュランダルは優しく微笑む。
カガリは大人っぽい格好のままぴょんぴょんと喜んでいた。
「いらっしゃいませ!」
カフェに戻ったのはもう正午で・・それでもカガリの気持ちは充実している。
これで大学にもいけるんだ、と思うと心が弛んだ。
そして・・カランと音を立てた先に、再び・・元副担任の姿が見えた。
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ご、ごめんなさい。アスラン最後1行でした;;デュランダル長すぎた;;それにムウさんも!
アスランは次回で・・・;;orz
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