「あら~、格好いい人!誰指名するの??」
「えっと・・。」
思わずヒビキ、と言いかけ、アスランはこの店でのカガリの名前を思い出す。
「ナノハナ・・って、いる?」
「残念っ、ナノハナは六時までなの。ちょっと遅かったわね!」
代わりに私が・・と言ってくれたその子桃色の髪の子には悪いが、場違いすぎて恥ずかしいので、アスランは目もくれず店から逃げる。六時、か・・学校の日は無理だな・・。
土曜ならば授業は午前で終わるから・・。そう考え、アスランは土曜来ることに決める。
家に帰り・・カガリはシンが居ないことを良いことに、電卓と通帳を元に細かい計算を始める。
自分が・・まさか、キャバクラのような所で沢山稼げるとは思っていない。でも・・。
時給五千円は、強い。
計算していくと・・やはりというか、カガリは思わず声をあげた。
「・・これなら・・。」
私も・・。
「・・・大学、いけるかもしれない・・っ・・!!」
入学金と・・1年分の、授業料なら・・・間に合う・・!!
もう一度計算し、シンの高校生活分が半分以上あるのを確認する。
これなら・・大学に入ってからも続ければ、支障はない・・。
そうなると・・問題は自分の勉強だ。
どんなにお金があっても・・カガリの昔から行きたかった学校の学部は偏差値が高い。
「・・・なんとか・・なる、よな・・っ。」
自分の努力次第だと・・・カガリは嬉しくなっていた。
でも・・と、考えてみれば自分は高校卒業の資格はない・・。
学校以外で・・高校の卒業資格をとるのって・・。
そう考え、カガリはすぐさまパソコンをつけた。
今のカガリには・・自分が、大学に行けるという事実が、嬉しかった。
次の日、カガリは浮かれた気分でバイト先から帰っていた。
今日・・店でオーナーに連絡し・・明日詳しい資料を持ってきて貰うことに決まったのだ。
午後六時・・丁度満員電車に揺られながら、カガリは少し顔を弛ませる。
昨日パソコンで調べたところ、大学入試資格検定というものが存在するらしい。
年に二回・・五月と九月・・・五月までだってあと半年弱ある。
この二回のテストを頑張れば、自分は卒業したのと同じ学力があると見なされ・・そして大学にだって入れるんだ!
そう思うと、カガリは少しわくわくしてくる。
だが・・そのわくわくは、知らない人の手によって、最悪の気分へと変わった。
満員電車。
・・・・・これは・・痴漢・・・・?
お尻の当たりを撫でる手が、気持ち悪く・・カガリのわくわくは吹き飛ばされ、更に不機嫌になる。
巫山戯るなと、その手を取ってやった。
そして・・次の駅で降り、そいつのてを引きねじ上げる。
「うわぁ!」
何とも情けない声。
殴り飛ばしてやろうかと身構えると、そいつのワイシャツの襟に見覚えがあるバッチが付いていた。
・・これって・・会社のバッチだよな・・。
相手の顔ではなく、そのバッチを見ていると・・その男は鞄から徐に財布を出し、万札をカガリのバックへと入れ猛ダッシュで逃げていく。
「え!?あ・・。」
別にお金が欲しい訳じゃなくて・・殴らせて欲しいんだが・・。
そう唖然としている内に、男は消え、カガリにはその万札だけが残った。
「・・・五万・・うわ・・。」
顔は見えなかったが、まだ若い奴だった。
世の中には物好きもいるんだな・・とカガリは呆れた気分になる。
深く溜息を付き、カガリは次に来た電車へと乗った。
「あ、姉ちゃん・・。」
家に帰るとシンが居て・・・シンは困ったようにカガリを見る。
「どうかしたのか?」と首を傾げ見ると、シンは隠すように手を広げた。
「・・・、怪しすぎるぞ?」
「いや、、えっと。。。」
迷ってから・・シンは手をどけ、その隠された後ろにはカガリよりも薄い、金髪の女の子が泣きそうな顔をしていた。
それ見た瞬間、カガリの中の何かがプツンと切れる。
「シン!!あれほどふしだら事するなって・・・・!!!!!」
「わぁああ~!!誤解だ!姉ちゃん、ステラはただ・・」
「問答無用~~~!!!!!」
シンに殴りかかろうとすると・・そのステラと呼ばれた子がキョトンとカガリを見てクスクスと笑いだした。
「お姉ちゃん!」
「へ??」
ガバッと抱き付かれ・・カガリがステラに押し倒されていた。
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ステラ可愛くて良いです。カガステ姉妹は可愛いと思います!(エ)
次からステラ・アスラン色々。ちょっとアスカガ要素も増えます!(笑)
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