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※管理人のアスカガ妄想場。短編or続くか不明なものばかり;;続いたらサイトにもアップします。当然ですが無断転送一切禁止です。
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ここら辺から起承転結の転と結





独特の臭い。

女の甘い声。

聞き慣れた男の荒い吐息。




銀鏡反応5



それらが何を意味するのかを知らないほどカガリは子供ではなかった。
別に疑っていた訳でもない、ただ珍しくそのフロアに用事があって、ミリィの言っていた「数学準備室」がただ目の前にあったと言うだけのこと。


まさか・だったのだ。

カガリはそんな噂一つも信じてはいなかった。

事実本人も「有り得ない」と先ほど否定したばかりだった。


時が止まったように硬直すること数分。カガリは室内がすっと静かになってハッとする。

ベルトを締める音や、スカートのジッパーを上げる音が聞こえ、カガリは急いでこの場から立ち去らなければと階段を見るが、かなりの距離があった。
その教室はフロアの角。・・奥の柱に隠れれば、見えないかもしれない・・!少なくとフロアの奥なんだから、何もないこっちに来るハズがない・・!

そう思い、抜き足差し足で音がでないようにして何とかそこに辿り着いた。

辿り着いて直ぐ、ガラッと音がする。
足音を聞く限り女性だろう、何も言葉を交わさず、シーンとしたフロアにその足音だけが響いていた。

その足音が階段を下ると、再びガラッと音がする。

そこで音が止んだため、カガリは男は今部屋に入って扉を閉めたのだろうと思った。

今なら行けるか・・?

そう思いチラリと柱から顔を出す。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・ッ!」


「・・人の秘密をこそこそ覗きに来るのは感心しないな。」

填められた。コイツ私がいることに気が付いてたんだ・・っ!!!!

咄嗟に、声の主を睨んだ。

だってそうだ、だって、コイツさっき「有り得ない」って・・!
なのに、何だこれは・・!!!!!!

「こんな事する奴だって・・思ってなかった・・・・・・・・・・っ!!!!」

自然と溢れた涙、相手はそれを見てクスッと笑う。

「泣いてる女ってのもいいな、・・・俺と今からやろっか?」

その言葉にカガリはバシンっとそいつの頬を平手打ちした。
少し赤くなった頬。

「何・・何言ってるんだよ・・お前・・っ!お前はそんな事言わない・・!アスランは・・そんな事・・・・・・っ」

ぐしゃぐしゃになった顔でカガリは怒鳴る。
相手はそれを少し眺めてから、小さく声を出す。

「アスランって誰だよ。」

「は・・?」

「俺の名前なのか?それ。みんなそう呼ぶ、みんな"普段のアスランからじゃ想像できない"って・・言う。」

そしてじっと琥珀色の瞳を見つめた。

翡翠の、引き込まれそうなほど綺麗な瞳。・・整った顔立ち。

どこをとってもアスランだった、なのに・・・・・・・・。


「珍しいな。みんな俺の方が良いって言うのに。お前は"アスラン"の方が良いんだ。」

「・・当たり前だろ、お前なんかより・・アスランの方が一億倍良い。」

そうするとそいつは少し考えて、「俺のどこが嫌なんだ?」と聞いてくる。

「全部だ!」
「顔も?体も?アスランって奴と一緒なんだろ?外見が。だからみんな間違えるんだろ?」
「アスランは顔も体はどうか知らんが、いいと思うぞ!でもお前はヤダ!お前みたいな奴大嫌いだ!全部嫌いだ!」

いつの間にか泣くことも忘れて罵る。

「女に軽々しく手を出す男なんて、最低だ。・・アスランは絶対にそんな事しない!・・お前だろ!この頃アスランのフリして沢山の女の子に手を出してた奴は・・!アスランがどれだけ迷惑だったと思ってるんだよ・・!アスランに謝れ!」

「・・・。」

「聞いてるのかよ?!」

言うだけ言って、そいつを見上げると明らかにカガリを睨んでいた。
アスランと全く同じ顔なのに、カガリはそんな目でアスランに見られたことはなかったから、内心相当驚いた。

恐いと思った。アスランに始めてハッキリと恐怖を覚えた。

「五月蝿いお前。・・俺もお前みたいな女は嫌いだ。」
「同感だな。私もお前みたいな男大嫌いだ。」

嫌味たっぷりに言って、カガリはまだ残る恐怖心からその場を去ろうとする。

だが、腕を掴まれ振りほどこうとすると、口を塞がれ捕らわれていた。

「嫌いな奴には優しく出来ないぞ?」

まさか-------!!!


カガリの心を恐怖が包んでいた。

本気を出した男にカガリが敵うはずなく、抵抗してもずるずると体を数学準備室へと押し込められる。
畳四畳ほどの部屋だが殆どが棚で、歩ける場所は二畳あるかないかの手狭な部屋だった。
カギを閉める音がして、カガリに絡み付いていた腕が離れる。

「嫌がるのを・・、ってのも案外萌えるな。」

アスランと同じ顔で、同じ事を言うそいつが、カガリは許せなかった。

「どけよ・・!・・叫ぶぞ!!」
「どうぞご自由に。扉を閉めたらこの部屋からじゃいくら叫ぼうと違うフロアには響かないから。」

そう言って笑う相手に、カガリはどうしようもなく苛立った。
だが、否応なしにそいつの指がカガリの顎を持ち上げる。

逃れようと暴れると、肩を痛いほどに掴まれ、顔だけでもと必死に横に向けた。

その必死すぎる態度に、男は思わず笑ってしまう。
なんて面白いんだろうこの子は。さっさと流されてしまえばいいのに。

ぎゅっと閉じられた目を口元。

いつまで絶えていられるかと、アスランは顔に無数に口づけをする。
するたびにピクピクと反応する身体。

鼻のてっぺんをペロリと舐めると、カガリは小さく身震いをした。

「・・ああ、可愛い奴だな君は。・・さっきのは撤回する。・・俺君みたいなの、好き。」

相手は無視すると決め込んでいるのか、同じ態度をとり続けている。

面白くなって、次はと首筋をゆっくりと舐め耳を弄る。
すると、頑なだった身体の力が緩くなり、また笑ってしまった。

「どうした?"嫌い"なんだろ・・?・・・ああ、そうか、身体と心は別だもんな・・。嫌いな俺に触れられて感じてる君・・、はは・・っ・・良い姿だ。」


笑っている相手に対して、カガリの心は絶望の淵に立っていた。

だって、"アスラン"そのものだから。

顔も、手のひらも、目も身体も全部全部アスランだったから。

アスランに、あんな優しいアスランに、こんな言葉を言われたら・・・・・・・・悲しくて死んでしまいそうだ。


その反面、ずっと大好きだったアスランに、こんなコトをされてるような気分になっている事実。



そう、そうだ。・・私が好きなのはアスランだ。コイツじゃない・・・!
全部一緒だけど、アスランはこんな事しない・・!いつだって優しかった、微笑んでいた。

こんな、人を恥辱するのは・・どんなに見てくれがアスランだって、アスランの訳がないじゃないか!!!!

「助けて、アスラン・・っ」

制服のリボンをスルリと外されたとき、カガリの口から弱々しく、だが確実に聞こえる声が発せられる。

「へぇ、君"アスラン"と仲がいいんだ・・・・、じゃあ俺のことアスランだと思ってれば?・・気が楽だろ?」
「アスランは・・こんな・・・っ優しくて紳士でだから・・こんな酷いこと・・しない・・・ッ・・、アスラン・・アスラン、助けて・・・!!」

嗚咽が部屋を包む。
相手はその声に萎えたようにその行為を止める。

解放される・・、そう思って目を開くと、バチンっと頬を叩かれた。


「やっぱり、お前嫌い。」

酷く憎んだ目で見られていた。
先ほどとは違う恐怖、アスランと同じ姿の人にまるで呪うような目で見られ、カガリは動けなくなる。

「お前みたいな女・・・・・・・っ」

そう言ってもう一方から飛んできそうになった平手にカガリはギュッと目を閉じ小さくなった。

だが、不思議とビンタは飛んでこない。

「・・・・?」

「・・・・・・・っ」

ポタっと床に液体が落ちた。

「・・・・、・・・?」
「・・・・ッ・・・・」

そいつが、泣いていて、カガリはそれをしばらく眺めていた。意味が分からなかった。
相手もそれは同じようで、溢れてきた涙を何度拭っても、また直ぐに涙が瞳から零れた。

何か、言ってやらなきゃいけない気がした。


「・・ど、どうしたんだよ、突然・・」
「・・・っ・・俺が・・聞きたい・・・・・・・っ」

何か、胸に感情が溢れているのか、上手く言葉にだせないようだった。

一向に涙は止まらず、カガリは自分でも信じられなかったが、そいつを抱きしめていた。
慰めてやらなきゃ、と思ったのかもしれない。ただそのままにしておけなかった。


「落ち着け・・大丈夫か?・・よしよし。」
「・・・・・・・。」

しばらくすると相手の腕がカガリの背を包む。
先ほどと違い嫌らしい手つきではなく、ただ縋るような抱き締め方だった。







+++++++
転ですねー・・。
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